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化粧品OEMメーカーの選び方 第2弾!製造ロットとコストに注目

前回の記事では、メーカーの強みや特徴、開発力に関する9つの重要なチェックポイントについて解説しました。これらの基本的な選定基準を踏まえた上で、今回は製造ロットとコスト、品質管理体制とサポート体制に関する確認ポイントを詳しく見ていきます。

製造ロットとコストの設定は、事業の収益性に直接影響を与える重要な要素であり、判断を誤ると事業計画の大幅な見直しが必要になる場合も。しかし、本記事で解説する具体的なチェックポイントを押さえることで、自社に最適な製造ロットとコスト設定を実現できます。

本記事では、OEMメーカー選定における製造ロットとコストの確認方法を、実践的なポイントを交えながらわかりやすく解説。まだ「化粧品OEMメーカーの選び方 第1弾!メーカーの強みと開発力を確認する」を読んでいないという方は、ぜひそちらもご覧ください。

1.最小発注ロット数は何個から?

化粧品のOEM製造において、スキンケアに比べメイクアップ化粧品はパーツも多く、最小ロット数が多い傾向にあります。そのため、自社の希望する最小ロット数で発注可能か、事前に確認する必要があります。

新規ブランドの立ち上げや新製品の市場テストを行う場合、大量生産による在庫リスクを避けたいと考えるのは当然です。しかし、あまりに小さなロット数での製造を希望すると、製品単価が著しく上昇する可能性もあるため注意が必要です。

製品カテゴリーによって一般的な最小ロット数は大きく異なります。たとえば、スキンケア製品は比較的少量からの製造が可能な場合が多いのに対し、口紅やファンデーションなどのメイクアップ製品は専用の金型や充填設備が必要となるため、より大きな最小ロット数が設定されていることが一般的です。

2.希望のロット数・原価での発注は可能か

化粧品の製造において、製造ロット数は、商品1個あたりのコストを大きく左右します。たとえば、3,000個製造する場合と10,000個製造する場合では、1個あたりのコストに大きな差が生まれます。これは、大量生産することで製造設備の稼働効率が上がり、原材料をまとめて購入できるためコストが下がり、人件費も製造数で割ると1個あたりの負担が少なくなるためです。

ここで重要なのは、希望する原価を実現できる適切なロット数の見極めです。製造原価は最終的な販売価格設定に大きく影響するため、市場競争力のある価格を維持しながら、十分な利益率を確保できるバランスポイントを見つける必要があります。

注意すべき点として、OEMメーカーによって、同じロット数であっても製造原価が大きく異なるケースもあります。これは、各メーカーの製造設備の規模や効率性、原材料の調達力、技術力などの違いによるものです。前回の記事で解説した「独自処方の有無」や「生産能力」といった要素も、製造原価に大きく影響を与える要因となります。

3.希望の製造ロット数でクオリティを担保できるか

小ロット生産に対応可能なOEMメーカーを選ぶ際、品質管理体制に問題がないかを確認する必要があります。前回の記事でも触れた「過去の経験と実績から信頼性を確認する」というポイントは、品質管理の観点からも非常に重要です。化粧品は人の肌に触れるものであり、品質管理は絶対に妥協できない要素です。そのため、製造ロット数の条件が合致するだけではなく、品質管理面でも問題がないかの確認は欠かせません。

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4.メーカーの製造体制|自社工場かファブレス型か

化粧品OEMメーカーの製造体制は、大きく分けて自社工場を持つタイプとファブレス型の2つに分類されます。自社工場を持つメーカーは、製品の開発から製造までを一貫して自社でコントロールできる点が大きな強みです。品質管理基準の設定や製造プロセスの管理も直接できるため、トラブル発生時の対応も迅速に行えます。

ファブレス型のOEMメーカーは、製品設計や企画に特化しており、実際の製造は協力工場に委託します。このモデルでは、柔軟な生産体制と効率的なコスト管理が可能というメリットがありますが、品質管理の点で注意が必要です。製造を外部に委託するため、一定の品質管理基準を保つことや、製造プロセスの監視が難しくなる可能性があるためです。

どちらの形態が優れているというわけではありません。重要なのは、各メーカーがどのような品質管理体制を構築し、どのようなサポート体制を整えているかです。自社の製品特性や事業規模に合わせ、最適なパートナーを選ぶことが大切です。

5.研究開発や製造への取り組み体制は充実しているか

OEMメーカーの技術力を評価する上で、研究開発や製造への取り組みは重要な判断材料です。信頼できるOEMメーカーは、製品開発のための専門チームを持っていることが多く、市場トレンドや新しい原料、製造技術の研究に継続的に投資しています。

これらの要素を評価するための具体的なポイントとして、以下が挙げられます。

  • ・研究開発部門の規模
  • ・各OEMメーカーの得意分野
  • ・特許取得数

化粧品は長期間使用される製品であり、さまざまな環境下での品質維持が求められます。そのため、十分な試験設備と経験豊富な専門スタッフがいるかどうかは、重要な判断基準となります。

6.市場での評価と実績は十分にあるか

化粧品OEMメーカーを選定する際、企業としての信頼性と製造体制の充実度を確認することが重要です。まず、ISO9001などの品質マネジメントシステム認証の取得状況を確認しましょう。この認証は、製品の品質管理体制が国際基準に適合していることを示す重要な指標です。認証を取得していることで、品質管理の仕組みが確実に構築され、運用されていることが分かります。

次に、製品開発から製造までの一貫した管理体制が整っているかどうかも重要なポイントです。研究開発部門の充実度や処方開発と容器開発の連携体制、製造設備の特徴など、製品化までの各工程における体制を確認することで、安定した品質の製品を製造できる能力があるかを判断できます。コンプライアンスや情報セキュリティに関する方針が明確であることも、信頼できるOEMメーカーの条件です。社内教育の実施状況や内部通報制度の整備など、企業としてのガバナンス体制が確立されているかどうかも確認すべき点です。

トキワでは、研究開発から製造まで一貫した体制を構築しています。グローバルテクノロジーセンターには100名以上の研究開発者が在籍し、処方部門と容器部門が一体となって製品開発を実施。日本国内に6つの工場・作業所を保有し、オリジナルの生産設備を内製することで高難度製品の量産にも対応可能です。また、各工場でISO認証を取得しており、品質管理体制の国際基準への適合を実現。さらに、コンプライアンス社内教育の実施や内部通報規程の制定と制度運用(※)など、企業としての信頼性向上にも積極的に取り組んでいます。

※参照:Sustanability Report 2022

7.サポート体制は充実しているか

化粧品のOEM製造では、製品開発から製造に至るまで、様々な段階でメーカーのサポートが必要になります。優れたOEMメーカーは、製造請負業者としてはもちろん、ともに製品を開発するパートナーのような存在になってくれます。

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OEMメーカーのサポートは製品の製造だけでなく、処方開発時や開発初期段階からの技術的なアドバイスや、原料選定のサポート、市場投入後のフォローまで多岐にわたります。とくに化粧品は安全性と品質が重視されるものであり、市場トレンドの変化も激しい分野です。そのため、製品開発を成功させるには、豊富な知見と経験を持ち、継続的なサポートを提供できるメーカー選びが大切です。

8.対象となるサポート範囲はどこまでか

OEMメーカーによって提供されるサポートの範囲はさまざまです。製品開発から製造までの基本的なサポートに加え、原料調達や容器開発、規制対応、市場調査など、幅広いサービスを提供するメーカーもあります。

重要なのは、自社が必要とするサポートの範囲と、メーカーが提供可能なサービスの範囲が合致しているかを事前に確認すること。とくに、新規ブランドの立ち上げや海外展開を考えている場合、それらに対応可能な、より広範囲でのサポートが必要となる可能性があります。

まとめ

化粧品のOEM製造において、製造ロットとコストのバランスを見極めることは、事業の成功に直結する重要なポイントです。発注可能な最小ロット数製造原価品質管理の三要素は非常に重要なポイントです。これらのバランスを適切に見極めることが、OEM製造を成功させるために欠かせない要素だと言えるでしょう。また、品質管理体制とサポート体制は、新たに製造する化粧品ブランドやコスメラインを成功させるための重要な要素です。本記事で解説したポイントは、どれも切り離せない関係であり、総合的な視点で評価する必要があります。

最後に、OEMメーカーの選定は、コストや生産能力の比較ではなく、長期的なパートナーシップを築けるかどうかという視点で判断することが重要だという点です。適切なOEMパートナーを選ぶことができれば、安定的に製品を供給できる体制構築だけでなく、市場環境の変化にも柔軟に対応できる強固な事業基盤を築くことができます。

OEMメーカー選定でお悩みの際は、本連載でご紹介した各チェックポイントを、ぜひ確認の指針としてご活用ください。

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