カラーコスメOEM国内トップシェアのトキワによるコラム
化粧品OEMメーカーの選び方 第1弾!強みと開発力を確認
化粧品のOEM製造を依頼するメーカー選びは、完成品の品質や事業の成否を左右する重要な要素です。適切なメーカー選びができないと、予期せぬ開発コストの増加や納期の大幅な遅延、品質トラブル、取引条件の途中変更など、深刻な問題が起こる可能性も。実際、サンプル製作の追加費用の発生や、容器調達の遅れによる発売時期の延期、処方と容器の相性が悪く、中身が漏れるといったトラブルも起きています。
本記事では、これらの問題を未然に防ぐため、メーカーの強みや特徴、開発力に関する9つの重要なチェックポイントについて、具体的な確認方法とともに解説します。
目次
1.メーカーが得意とする化粧品カテゴリーを見極める
OEMメーカーを選定する際にまず確認すべきは、メーカーが強みを持っている化粧品のカテゴリーです。スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ボディケア製品など、化粧品には様々なカテゴリーが存在します。多くのOEMメーカーのホームページを見ると「どの製品でも対応可能」と書かれているケースが多い傾向にありますが、実際には特定の分野に強みを持っているのが一般的です。
メーカーの強みを理解せずに製造を依頼してしまうと、思わぬ問題につながることも。例えば、スキンケアに強いメーカーにメイクアップ製品の製造を依頼した場合、そのメーカーが製造を別のOEMメーカーに委託するケースがあります。その結果、コストが20-30%程度上昇するだけでなく、自社の希望する品質管理が難しくなるリスクも。
このような問題を避けるためにも、メーカーの得意分野を見極めることが重要です。また、製品サンプルの提供を依頼したり、特許取得数などを確認したりすることで、より正確な判断が可能になります。
2.同類の化粧品を開発した実績の調査
開発実績の確認は、OEMメーカーの実力を測る重要な指標です。特に、自社でこれから開発したいと考えている製品と類似した製品の開発件数は必ず確認するようにしましょう。また、平均的に開発期間はどのくらいかかるか、どのようなリスクが考えられるかなどの具体的な情報を事前に確認しておくことで、想定されるリスクの軽減に役立ちます。
メーカーに問い合わせる際は、「類似製品の開発実績はありますか?」「当社の想定する処方に近い製品の製造経験はありますか?」など、具体的な質問を投げかけることで、メーカーの実力を正確に判断できます。
3.過去の経験と実績から信頼性を確認する
製造実績が豊富で、多くのブランドから信頼を得ているOEMメーカーは、確かな技術力と品質管理体制を持っていると言えます。具体的には、医薬品や化粧品などの製造管理・品質管理を適切に実施するためのガイドラインである「GMP」に準拠した生産管理体制を導入し、厳密な品質検査基準を設けているかを確認するとよいでしょう。
複数の工場を持つメーカーの場合、各施設の生産品目に応じた品質管理体制が適切に整備されているか確認が必要です。化粧品製造業許可の取得はもちろん、ISO認証など国際的な品質マネジメントシステムの認証を取得しているかどうかも、メーカーの信頼性を図る重要な指標となります。
4.独自処方の有無
化粧品OEMメーカーを選ぶうえで、独自処方の有無も重要な判断要素です。独自処方は競合他社の製品と明確に区別するための重要な要素であり、消費者のニーズと合致していれば購買決定に大きな影響を与えるポイント。独自処方を持つメーカーは、研究開発力が高く、他社製品の差別化が図りやすいというメリットもあります。
ファブレス型のOEMメーカーの場合、独自の製造プロセスや処方を持っていないため、製造を外部メーカーに委託することになります。その結果、外注コストが上乗せされ、小ロット発注時は大幅なコスト増となる可能性もあるため注意が必要です。さらに、競合他社が同じOEM工場に製造を委託した場合、市場での優位性を失うリスクや、複数工場への委託による機密情報の漏洩リスクも考慮する必要があります。
これらの理由から、ファブレス型OEMメーカーを選ぶ際は、デメリットを十分に理解したうえで判断することが重要です。
ファブレス型OEMメーカーとは?メリットを紹介
ファブレス型OEMメーカーとは、自社で製造設備を持たず、製品の設計や開発に特化したビジネスモデルを採用しています。このモデルには、大きく3つのメリットがあります。
1.コストを抑えられる
工場設備への投資や維持管理費を負担する必要がないため、その分を製品単価に反映できる可能性があります。また、製品価格の設定における融通が利きやすく、小ロットでの製造依頼に対応してもらいやすい傾向にあります。さらに、製造設備を持たないため経営が効率化されていることも多く、柔軟な価格交渉も期待できるでしょう。
2.経営資源の効率的な活用
製造設備の運営や管理に人材や資金を割く必要がないため、研究開発やマーケティング、販売活動といったコア業務に経営資源を集中的に投入できます。これにより、より市場ニーズに合った製品開発や効果的な販売戦略の立案が可能になります。
3.生産体制の柔軟性が高い
特定の工場の稼働状況に縛られることなく、その時々の状況に応じて最適な製造工場を選択できるため、市場の変化や需要の増減に迅速に対応でき、新製品の開発・製造もスピーディに進められます。生産量の調整も柔軟に行えるため、在庫リスクを最小限に抑えることが可能です。
このように、ファブレス型OEMメーカーは、固定費を抑えながら柔軟な生産体制を構築し、企業の強みとなる業務に集中できる効率的な経営形態といえます。
5.オリジナル容器の有無
化粧品を差別化するうえで、容器のデザインも重要なポイントです。オリジナル容器を保有するメーカーは、処方に合わせた容器選定ができるため、内容物と容器のミスマッチなどのトラブルを未然に防止できます。
トキワでは、多数のオリジナル容器を所有しています。また、容器と処方の同時開発にも注力しており、製品化までの期間短縮や、品質の安定性を向上させられます。
メーカーを選ぶ際は、下記について事前に詳しく確認しておく必要があります。
- ・オリジナル容器のラインナップ
- ・容器メーカーとの直接取引の有無
- ・最小発注ロット数
- ・価格帯
- ・カスタマイズ可能な範囲
メーカーがオリジナルの容器を持っていない場合、市場で一般的に使用されている容器を使用することになります。その場合、他社との差別化を図るために、デコレーション加工の実施や、キャップの色や形状の変更、ラベルデザインを施すことも。これらの対策は市場での差別化につながる一方、追加コストが発生する可能性も念頭に置いておく必要があります。
6.容器・包装材を安定的に調達できるか
化粧品の製造において、容器や包装材を安定して調達できるかは製品の安定供給に直結する重要な要素です。信頼できるOEMメーカーは、容器の安定調達のために複数の容器メーカーと取引関係を築いています。これは、一社で希望するすべてのタイプの容器をラインナップしているケースが少ないためです。
オリジナル容器の場合、納品まで2~6ヶ月程度の期間が必要です。一般的な容器の納期は発注から4~6週間程度ですが、オリジナル容器の場合は2~6ヶ月程度かかるのが一般的です。発注ロット数は製品により異なりますが、一般的には3,000個からとなります。
大手OEMメーカーでは複数の工場を保有し、効率的な生産体制を構築したり、自社で企画・開発・販売している容器を流用したりすることで、安定的な供給体制の維持に努めています。
7.サンプル試作に費用がかかるか
サンプル試作や金型製作、処方開発にかかる費用は製品の仕様により異なります。多くのメーカーでは、これらの費用を製品価格に含める形で対応していますが、詳細は各メーカーに確認する必要があります。
サンプル試作にかかる費用について、下記の点を事前に確認しておくことが重要です。
- ・支払いの時期
- ・条件
- ・費用に含まれる作業の範囲
- ・開発が中止になった場合の費用の返還条件
費用を抑えるには、既存の処方をカスタマイズしたり、標準的な容器を使用したりするなどの工夫が可能です。ただし、既存処方のカスタマイズは他社製品との差別化が難しく、標準容器の使用は見た目のオリジナリティが低下することも。そのため、コスト削減と製品の魅力づくりのバランスを慎重に検討する必要があります。
8.サンプル試作の回数上限はあるか
OEMメーカーの中には、サンプル試作の回数に制限を設けている企業もあるため、事前確認が必要です。一般的に、製品開発のサンプル試作は3回程度で完了することが多い傾向です。回数制限の有無にかかわらず、開発の初期段階において、詳細な仕様書の作成や、段階的な確認プロセスを設定しておくことで、効率的な開発が可能になります。また、想定される問題点や課題に対する代替案をあらかじめ準備しておくことで、スムーズに開発を進められます。
9.生産能力は十分にあるか
OEMメーカーの生産力は、現在の製造対応力だけでなく、将来的に自社のコスメブランドの規模が大きくなった際にも対応してもらえるかを判断する重要な指標です。安定的に製品を供給するには、メーカーの生産ライン数と稼働状況の把握が重要です。季節商品のピーク時や急な増産要請にも対応できる余力があるか、また複数製品の同時生産能力も確認しておきましょう。また、長期的な取引を見据え、メーカーの今後の方針についても可能な範囲で確認しておくとよいでしょう。
まとめ
OEMメーカーを選ぶうえで、本記事でご紹介した9つのポイントは相互に関連しています。
最優先で確認すべきは、メーカーが得意とする化粧品種別、同類化粧品の開発実績、独自処方の有無です。次に重要なのが、オリジナル容器の有無や生産能力、過去の実績から判断される信頼性です。最後にサンプル試作関連などの条件を確認することで、総合的な判断が可能になります。
次回は、製造ロットとコストに関する具体的なチェックポイントについて解説していきます。これらの要素は、事業の収益性に直接影響を与える重要な判断材料となるため、ぜひ合わせてご覧ください。