トキワコラムTOKIWA COLUMN

カラーコスメOEM国内トップシェアのトキワによるコラム

商品開発

【ウェビナーレポート】失敗しないメイクアップコスメ開発 開発時のポイントとは? -OEMメーカーが伝える、初めてのコスメ開発の注意点(後編)

本コラムは、2023年11月16日に開催されたウェビナー「失敗しないメイクアップコスメ開発 開発時のポイントとは?」での講演内容をもとにしています。

本ウェビナーでは、化粧品開発をはじめるための事前知識やコンセプト設計の重要性、コスメ開発における前提知識、OEMメーカーの選び方と交渉のコツなどについてお話しいたしました。

(前編)ここだけは押さえよう!コスメ開発のポイント(ELATE COSME WORKSさま)

(中編)OEMメーカーが伝える、初めてのコスメ開発の注意点(トキワ)

(後編)化粧品コンサル×OEMメーカーによるQ&Aセッション(ELATE COSME WORKSさま&トキワ)

Session3:化粧品コンサル×OEMメーカーによるQ&Aセッション

植村さま:私自身も以前メーカーで働いた経験があり、OEMメーカーに依頼して製品を作ったこともあります。現在は自社で化粧品ブランドを新たに立ち上げており、その経験から色々なメーカーさまからの相談にも乗っています。そこで簡単にですけれども、私の方からよくあるうまくいかない事例や失敗例を3つを取り上げてご紹介します。

1.商品コンセプトはあるがブランドコンセプトがない

よく見られるのが「商品コンセプトはあるがブランドコンセプトがない」という失敗事例です。

多くの方々が「このような商品を作りたい」という考えを持っていますが、問題は「ブランドのコンセプトは何か」と聞かれた時に答えがないことです。このようなブランドは、実際に私が見てきた範囲で、失敗するケースが非常に多いです。

反対に、成功しているブランドはブランドコンセプトが最初からしっかりしています。これは成功するための必須条件だと私は考えていますので、ぜひこの点を考えていただきたいと思います。

2.作ってから集客しようとしてしまう

今の時代だからすごく多いのですが、今の時代は無料で集客できる時代だと思っていて、特にSNSを使ったマーケティングが中心となっています。そのため、製品を作る前に先に集客することが非常に重要だと思っています。

多くの場合、製品を作ってから集客しようとすると、非常に大変で、実際には製品が完成してから売ろうとしても反応がないというケースが多くあります。ですので、製品を作る前、もしくは作りながら同時に集客するという視点を持つことを強くおすすめします。

これが、現代のマーケティングにおいて大事なポイントだと思っています。

3.流行りの成分を入れて商品の特徴にしてしまう

最後に、流行りの成分を商品の商品の特徴にしてしまうことも、OEMに依頼する際の典型的な失敗例です。

製品開発には時間がかかるため、開発が始まる時には流行っている成分も、実際に製品が完成する1年後にはもう古くなってしまう可能性があります。その結果、流行りの成分を取り入れても、市場に出る時には競合が増え、製品が埋もれてしまうことがよくあります。

それでは、ここからは質問を受け付けながら座談会のように進めていきたいと思います。

(Q)コスメ開発後のOEMメーカーによる販促のサポート有無

菱川:

OEMメーカーはコスメ開発にともに取り組むパートナーとなります。サポート自体はアドバイス程度にわかる範囲でお伝えすることはできますが、広告や集客に関しては専門の会社様がありますので、そういった会社を紹介することは可能です。

(Q)よくある失敗例やOEMのトラブルについて

赤星さま:

私の方であげられる実例として、先ほどの植村さまがあげた事例とも似ているのですが、ベンチマークはあるものの、独自のコンセプトがなく、製品コンセプトはなんとなく存在するけれどブランドコンセプトが全くない状態で依頼を受けることがありました。加えて、開発を急がなければならないという状況でもありました。

コンセプトがないために仕様決定にも苦労し、なかなか決められなかったっていう事がありました。最終的には製品化し販売までできたものの、他社の製品と似ていて差別化ができない商品になり、後味の悪い経験でもありました。

化粧品製造にこれほど時間がかかるとは思わないという声もよく聞きます。ほかの業界の方々から見ると、化粧品業界の開発期間は異常に長く感じられるかもしれません。改善されることが望まれますが、少なくとも事前にこのことを理解しておいてほしいと思い、今回の話に入れさせていただきました。

植村さま:

ありがとうございます。

そうですね、製造期間が長いというのは、私もずっと化粧品業界なのであまりよくわからない感覚なのですが、そのあたりは実際にやってみてすごく長いと感じられるのかなと思います。

ただこの長いのには理由がありまして、法律などが関係しているので、なかなかこれを短くするというのはすごく難しいのかなとも思っています。

トキワ様に僕が聞きたい事で、ここで少しお話いただきたいなと思っているのですが、

(Q)小規模OEMでのコスメ開発の成功事例

菱川:

アイテムに関しては、弊社に限って言うと、特にペンシル系のアイテムでアイブロウ、アイライナーが非常に得意で、実績もたくさんあります。そういった意味だと、たくさんの実績の中から非常に作りやすいです。昨今の市場では、リップやマスカラの需要が非常に高いので、これらも弊社で製造できます。

また最近、特に欧米で流行している「クリーンビューティー」に関しても、弊社は基準以上の製品を提供できるよう研究開発を行っています。成功しやすい商品と小規模OEMに繋げていきますと、小規模に限らず、先ほど植村さまが言われていたブランドコンセプトは私も非常に重要だと思っています。

やはり成功しているところを見ていると、ブランドコンセプトを軸に、全ての営業活動やお客様とのコミュニケーションを行えているというところが非常に重要だと思っています。

当然大手のお客様は資本力を含めあらゆる面が取れているので、小規模のOEMであればあるほど、そのブランドコンセプトをしっかり決めて、それを軸に自分たちがお客様の手に届く範囲で活動出来ているというところが、成功事例かなと思います。

最初に冒頭であった7NaNaturalさんは、7つの課題を解決するクリーンビューティーブランドとして位置づけられており、実際に7つの課題に基づいたブランド活動や製品製作を行っています。

7つでコンセプトを設計することは、自分たちの活動の範囲を狭めることを意味し、クリーンビューティーとしてのカラーコスメでは、色の再現性が一気に狭められます。それにもかかわらず、7NaNaturalさんは成分を変えて発色を向上させるよう努めています。そして、7NaNaturalさんのアプローチは、ブランドコンセプトに沿ったものを提供するという点で、非常に成功している企業だと思います。

7NaNaturalさんは、新規のコスメ開発を行っているブランドで、大手コスメブランドに在籍していた人が立ち上げたわけではありません。もともとメディア企業の方が立ち上げたブランドで、化粧品開発に関してはゼロからのスタートでした。

もしご興味がある場合、7NaNatural様のホームページを見ていただければ参考になるかと思います。

植村さま:

私も多くの会社にアドバイスしていることですが、化粧品開発に関しては、よく商品中心のアプローチになってしまう傾向があります。

一般的には、会社を設立し、何をするかを決めた後にサービス開発に取り掛かると思います。しかし、化粧品の開発では、どういう商品を作りたいかという点から始まり、その後でブランドコンセプトを考えることが多いです。私はいつも、この順序を逆にするように提案しています。

なので、そこは本当に誰に聞いても大事なんだなというのを実感しています。

菱川:

加えて、ブランドコンセプトは、スタート時には自由度が高く検討できるのですが、ブランドが継続していくと簡単には変えられなくなるという難しさもあります。それで、苦しむメーカーさんも結構多いと思いますね。

(Q)SNS集客する際のポイント

植村さま:

続いて、「例えばインスタSNS集客する場合、コスメ専用アカウントとして、フォロワーが何人くらいいたら可能性ありますでしょうか。過去のインフルエンサー様とのやり取りを通しての経験則や印象でかまいません。また、何人くらいフォロワーがいるインフルエンサー様とお仕事されたことがございますか?」

という質問がきています。フォロワー数というよりかは、どれくらい熱量がある人をどれだけ集められるかというところが、ものすごく重要だと思います。あくまでフォロワー数に焦点を当てるのであれば、できれば1万フォロワー程度は集めて欲しいなと思います。

実際自分自身は、X(旧:Twitter)で、フォロワーを1万人以上集めた状態で集客をやってみて、成果を出せた経験があります。

菱川:

私もほぼ同じ感覚です。

フォロワーさんの質と言いますか、キャンペーンでひたすら稼いでいるフォロワーさんと普通に投稿だけで稼いでいるフォロワーさんはやはり違うので、一概に多ければいいというわけではないです。それが熱量というか、基準としてはあるのかなと思います。

ブランドコンセプトがある場合、例えば10万人のフォロワーを持つ方と1万人のフォロワーを持つ方が同じ金額で依頼を受ける状況でも、ブランドコンセプトに合っていない10万人のフォロワーに情報を広めると、ブランドのイメージが損なわれる可能性があります。

そのため、フォロワー数が1万人以下でも、コンセプトに合った方に依頼することで、より効果的な結果が得られると思います。

(Q)購入の意思決定につながるポイント

赤星さま:

先ほどから話している話の流れにも関係するのですが、やはりブランドコンセプトがどういうメッセージなのかが重要だと思います。

あとは、最近の購買動機として、誰が販売しているかということや、その会社・個人の考え方に共感できるか、というところが購入のポイントになっているんじゃないかなと最近すごく感じています。そういった部分を中身やパッケージで表現できているのが大事なのだと思います。

本コラムのまとめ

本コラムでは、株式会社トキワが主催した「失敗しないメイクアップコスメ開発 開発時のポイントとは?」についてのウェビナー内容をご紹介いたしました。

前編の記事ではウェビナー「失敗しないメイクアップコスメ開発 開発時のポイントとは?」でのELATE COSME WORKSさまによるセッション、「化粧品開発をはじめるための事前知識」のレポートをお届けしています。

URL:https://www.tokiwa-corp.com/column/909/

中編の記事ではトキワがOEMメーカーの視点から初めて化粧品開発を行われるかたがたにむけた注意点や意識しておくべきことについてお伝えしております。

URL:https://www.tokiwa-corp.com/column/959/

前編・中編もぜひご覧いただけますと幸いです。

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